個人情報保護法と管理組合
管理組合に不可欠な個人情報とは
管理組合にとっては組合員名簿が不可欠。個人情報保護法には罰則がある。管理が難しすぎて大変だ
☆まずは個人情報保護法を知ることから始めよう☆
☆関連法規
【個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律が成立しました。公布日：2020年6月12日／施行日：2022年4月1日】
「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」及び「個人データの漏えい等の事案が発生した場合等の対応について」に関するＱ＆Ａ
☆何度読んでもわからない法律用語・・・何回読んでも難解
【 】：用語 《 》：具体例
１【個人情報】
生きている個人に関する情報で、
（1）氏名、生年月日、住所、顔写真などにより特定の個人を識別できるもの（他の情報と容易に照合でき、それにより、特定の個人を識別できるものを含む）
（2）個人識別符号
《整理されていない名刺、アンケート、メモ書き、従業者の記憶にあるもの、整理もされず、検索不能な画像データなど》
２【個人識別符号】
（1） 特定の個人の身体の一部の特徴を電子的に利用するために変換した符号
（2） サービス利用や書類において対象者ごとに割り振られる公的な番号
《ア、 顔、指紋・掌紋、虹彩、手指の静脈、声紋、DNAなど
イ、 マイナンバー、旅券番号、免許証番号、基礎年金番号、住民票コード、各種保険証の記号番号など》
３【要配慮個人情報】
不当な差別・偏見が生じる可能性がある個人情報
《人種、信条、病歴、犯罪歴など》
４【個人情報データベース等】
個人情報を含む情報の集合物
《電子メールソフトに保管されているメールアドレス帳や氏名を五十音順に整理し、五十音順のインデックスを付してファイルした紙の台帳》
５【個人データ】
個人情報データベース等を構成する個人情報
《個人情報データベース等から出力された帳票等に印字された個人情報》
６【保有個人データ】
個人情報取扱事業者が、開示、内容の訂正、追加又は削除、利用の停止、消去及び第三者への提供の停止を行うことのできる権限を有する個人データ
《顧客データ、従業員データ》
７【匿名加工情報】
特定の個人を識別することができないように個人情報を加工して得られる個人に関する情報
《ポイントカードの購買履歴や交通系ICカードの乗降履歴など》
☆管理組合に必要な名簿とは
- 組合員名簿
居住者名簿
災害時要援護者名簿
駐車場使用者名簿
駐輪場使用者名簿
ペット飼育者名簿
その他
☆個人情報管理の要点
（1）個人情報を取得するとき
- 個人情報を取得する際は、どのような目的で個人情報を利用するのかについて、具体的に特定しなければなりません。
- 個人情報の利用目的は、あらかじめ公表するか、本人に知らせる必要があります。
- 個人情報のうち、本人に対する不当な差別・偏見が生じないように特に配慮を要する情報（人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪被害情報など）は、「要配慮個人情報」として取得するときは本人の同意が必要です。
（2）個人情報を利用するとき
- 取得した個人情報は、利用目的の範囲で利用しなければなりません。
- すでに取得している個人情報を、取得時と異なる目的で利用する際には、本人の同意を得る必要があります。
（3）個人情報を保管するとき
- 取得した個人情報は漏洩，改ざんなどが生じないように、情報セキュリティを万全にして安全に管理しなければなりません。
例：紙の個人情報は一連番号を付してコピー不能な用紙で作製し、鍵のかかる引き出しで保管する。
パソコンの個人情報ファイルにはパスワードを設定する。
個人情報を扱うパソコンにはウイルス対策ソフトを入れるなど。
☆個人情報とプライバシーとは違います…ここが間違いやすいところ
個人情報保護法でいう【個人情報】とは、生存する個人に関する情報のうち、特定の個人を識別できる情報のことです。一方、【プライバシー】とは、私生活や私事、個人の秘密のような他人にみだりに知られたくない情報のことで、個人情報＝プライバシーではありません。
個人情報保護法上、プライバシーの保護や取扱いに関する規定はありませんが、個人情報保護法は、「個人情報」の適正な取扱いにより、プライバシーを含む個人の権利利益の保護を図るもの。 一方、プライバシーは「個人情報」の取扱いとの関連に留まらず、幅広い内容を含むと考えられます。そのようなプライバシーの侵害が発生した場合には、民法上の不法行為等として侵害に対する救済が図られることとなります。
☆管理組合が作成すべき規約、細則について
管理組合は個人情報を取り扱う上においてはコンプライアンスを常に維持すべきです。そのためには「個人情報保護方針」（プライバシーポリシー）、「個人情報保護規定」、「個人情報保護細則」などを定め、それらに基づき管理者として適切な業務を行う必要があります。